キャリアプランは何ですか ?
そもそも「キャリアプラン」とは、本来「自分が将来どんな仕事をして、どんな立場になりたいか」を言語化したものだ。5年後・10年後のポジションや役割を描き、そこへ至る道筋を逆算していく。新卒採用の文脈ではよく機能する問いだ。これから何者になるか、が問われているのだから。
だが、セカンドキャリアの文脈でこの問いが発せられると、話が変わる。
一度、社会の中でそれなりの役割を果たしてきた人間に対して、「さて、あなたのキャリアプランは?」と聞くのは、登山を終えて山を下りてきた人に「次はどの山頂を目指しますか?」と聞くようなものだ。答えられないことはない。が、公開することに何の意味があるのか?
さらに引っかかるのが、それを「他者に向けて語る」という行為だ。
キャリアプランを聞く側には、たいてい二つの動機がある。ひとつは「この人がうちの組織に合うか」を測るため。もうひとつは「この人の本気度を確認する」ため。つまり、自分のためではなく、相手の判断材料として使われる。
これは本質的に非対称な問いだ。
自分のキャリアの見通しを語ることで、相手は安心し、場合によってはその語りに沿った役割を与えてくれる。しかし、セカンドキャリアとなると。。。問いそのものが時代遅れかもしれない。キャリアプラン」という概念は、高度成長期から続く「一本道のキャリア観」と相性が良い。一つの会社・一つの業種・一つの専門性を積み上げる——そういう世界では、プランを描くことに意味がある。
でも、人生100年時代と言われ、一つのキャリアを終えてなお20年・30年の時間が残されている現代において、「次のキャリアプラン」を問われても、正直なところ答えようがない場合があるだろう。
では、本当に聞くべき問いは何か。あなたは何を大切にしているか。どんな状態のときに、一番生き生きとしているか。これまでの経験から、次に何を手渡したいか。これらは、5年後のポジションとは関係ない。しかし、セカンドキャリアを考える上ではるかに本質的な問いだ。
セカンドキャリアの渦中にいる人間にとって、「キャリアプラン」という問いは、しばしば窮屈だ。計画できないほど、まだ可能性が開かれているやもしれぬ。地図のない旅というのは、不安でもある。でも、地図があるふりをして歩くより、ずっと正直だと思う。


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