無償でできる仕事は何ですか ?
仕事とは何かと問われたとき、多くの人は給与や役職を思い浮かべるだろう。しかし今年、私はその問いをもう一度ゆっくり考えた。
子ども食堂の運営も、自ら立ち上げた会社も、確かに私の「仕事」だ。それは今も変わらない。けれど仕事というものは、本来、報酬が伴わなければならないのだろうか。英語で “work” と捉え直すと、その問いの答えは静かに緩んでいく。仕事とはただ、何かに力を注ぐことだ。そう気づいたとき、ごく身近な場所に、毎日繰り返されている仕事があることに目が向いた。家事である。
洗濯、掃除、料理、片付け。デスクワークのように細かく、時に軽作業のように地道で、重い荷物を運ぶような力仕事でもある。その仕事には、給料明細も、評価シートも、昇進もない。しかし確かに存在し、確かに誰かを支えている。
家事の報酬はプライスレスだ、とよく言われる。陳腐に聞こえるかもしれないが、これほど正確な表現もないと思う。清潔に整えられた部屋、温かい食卓、洗いたての衣類——それらは数字に換算できないが、「平々凡々な日常」をそのまま平々凡々に維持するための、静かな技術と愛情の結晶だ。
当たり前のことが当たり前に続く。それがどれほど難しく、どれほど尊いことか。家事はその「当たり前」を毎日手で作り出している。家族の関係が良好であること、清潔な環境で眠れること——そのすべての土台に、名もなき無償の仕事が積み重なっている。
感謝されることもあれば、されないこともある。それでも誰かがやり続ける。あるいは自分自身のためにやり続ける。その静けさの中にこそ、仕事の本質があるのかもしれない。
報酬のない仕事が、最も豊かな生活を作る。なんて素敵なことではないか。


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