ゴーグルの向こう側

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オリンピック競技で最も楽しく観戦しているものは何ですか ?

これまで直球で100メートル×4リレー、近年は競技そのものより政治的なメッセージが前面に出ること。純粋にスポーツとして楽しめないもどかしさを書いた。そして先日の冬季オリンピック。今回改めて心を掴まれたのが、スノーボードにスキーだった。

スノーボードは自分でやったことがない。板一枚で世界と遊ぶ感覚が、夏でも冬でも季節を問わず人を魅了するのだろう。そこには身長も体重も年齢も、さほど関係がない。大柄な選手が有利というわけでもなく、ベテランが若者に圧倒されることもあれば、その逆もある。純粋な技と感覚の勝負、という清々しさがある。

一方、スキーとなると話は別だ。かつて自分もゲレンデに立っていた記憶が、観戦に厚みを加える。あの速度の感覚、エッジが雪を噛む手応え、風が顔を叩く冷たさ――体がまだ覚えている。だから画面越しにワクワクする。理屈ではなく、身体が反応する。子供の頃はスキージャンプ観戦に熱狂した。あの滞空時間の非現実感、静寂の後の歓声。しかし今はなぜか、以前ほど心が動かない。アルペンやモーグル、クロスといった種目の方に、気づけば釘付けになっている。歳とともに、スピードや技の積み重なりに美しさを感じるようになったのかもしれない。そしてもう一つ、正直に告白しておかなければならない楽しみがある。

スキー選手には、美人が多い。

これは単なる個人的感想ではなく、おそらく理由がある。まず、アルプスやスカンジナビアといった雪山文化を持つ地域の選手が多く、そうした地域では彫りの深い顔立ちが多い。骨格がはっきりしていて、カメラ映えする顔つきは、競技とは別の意味で目を引く。さらに、スキー競技で培われる身体的条件も関係しているだろう。体幹の強さ、バランス感覚、瞬発力と持久力の両立――そうした鍛錬が、姿勢の美しさや体型の均整につながる。猫背になる暇など、雪山には存在しない。加えて、寒冷な環境での生活は肌にとって一概に悪いとも言い切れない。乾燥は大敵だが、紫外線の過剰な蓄積は少なく、またアウトドアで活動する選手たちの健康的な血色は、内側からの輝きとでも言うべきものだ。

そして何より、あの瞬間がある。

ゴールを駆け抜けた後、荒い息のまま立ち止まり、ゆっくりとゴーグルを外す瞬間。汗と興奮と安堵が混じった表情が、初めて顔全体で現れる。そこにはただ競技を終えた一人の人間の素顔がある。その無防備な美しさに、思わず見入ってしまうのは、きっと私だけではないはずだ。

スポーツとは、人間の限界への挑戦であると同時に、人間そのものを映し出す鏡でもある。速さ、技、勇気、そして時に、ゴーグルの向こうの笑顔。そのすべてを含めて、冬のオリンピックはやはり、やめられない。

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