今は船旅。お題に答えるなら車で日本を。

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国を横断する旅に出るとします。 飛行機、電車、バス、車、自転車のどれにしますか ?

日本を西から東へ。はじめに横断を考えた。縦に細長い島国、日本。その「縦」を走れば縦断、「横」を抜ければ横断。では横とはどこからどこへか。答えはシンプル。太平洋から日本海へ。あるいはその逆。二つの海がkeyだ。では、横断の旅はそこを抜けることにしよう。

出発は、潮の匂いから。スタート地点は近場でちょっと白浜温泉にクエに興味がある和歌山の海岸線。黒潮が洗う太平洋の岸辺。波音は大きく、空は広い。ここを起点に、日本海を目指す。和歌山から北上する。選ぶルートは、琵琶湖の西岸を経由して、若狭湾へと抜ける道。距離にして300キロ前後。急ぐ旅でもない。ゆっくり安全運転で。

和歌山を出て、吉野川沿いに北へ向かう。龍神温泉で一泊したい。吉野で柿の葉寿司に葛餅も良い。更に北へ。景色が変わり始め民家が減り杉の木が増える。空気がひんやりとしてくる。山を越えるとき、人は否応なく「この国の地形」と対話させられる。滋賀に入り、琵琶湖の西岸に出る。分かってはいるが、これは湖かと疑いたくなる対岸がかすんで見える。海ではないのに、どこか海に似た落ち着きがある。琵琶湖畔の雄琴温泉で一泊、泊まってみたかった花街道だ。近江牛に近江米、ビワマスの刺身も良いな。お酒は松の司があればそれで。琵琶湖畔の朝は、靄がかかって幻想的だ。水鳥が鳴く。漁師の小船が出ている。旅の中盤、このゆったりとした一夜だった。琵琶湖を離れ、北へ。比良山系の裾を巻くように進み、やがて峠を越えれば、視界が開ける。

若狭湾だ。太平洋の黒潮とはまるで違う、落ち着いた群青色。リアス式の海岸が、入り組んだ地形の中にひっそりと広がっている。波は穏やかで、どこか懐かしい。先日の和歌山の潮の匂いを思い出す。同じ海水でできているはずなのに、ずいぶん遠くへ来たな、という感慨がある。それが横断の醍醐味だと思う。距離ではなく、この国の厚みを体で測ったのだ。

頭の片隅には、ずっと船旅がある。実は若狭湾から舞鶴港を起点に、新日本海フェリーで北海道・小樽、苫小牧へ渡る航路がある。一夜を海の上で過ごし、朝に北海道の港に立つ——そこまでやれば、横断はそのまま「縦断への助走」になるのだ。

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