朱鷺

Published by

on

好きな動物は何ですか ?

ちょうど今、関心はここに。朱鷺(トキ)という鳥は、見た目の美しさだけでは語り尽くせない。

学名 Nipponia nippon の通り、日本の象徴として扱われてきた。全身は白っぽいのに、飛び立つと翼の内側が淡い朱色に輝く。この色は繁殖期に特に鮮やかになる。この色がなかなか出せない。そう、去年描いてみた。羽を閉じたつがいをだ。

田や湿地での映像や写真をよく見かける。日本らしいと言えばそうだ。一日に約300gのドジョウを食べるらしい。水田生態系と密接に結びついているのだ。故に農村の風景の象徴でもあり、人の暮らしと深く関わってきたのだ。

学名の由来は此処かと思ったが、実は幕末に来日したドイツ人医師シーボルトが、江戸参府の途中で近江(現在の滋賀県)でトキの剥製を入手し、オランダに送ったことがきっかけで、その標本をもとに、イギリスの鳥類学者グレイが学名を Nipponia nippon と命名したという。よほど日本の存在感が強かったのだろう。当時は北海道から四国まで広く分布し、ありふれた鳥だったという。田畑を荒らすこともあり、農家からは必ずしも好かれていなかったという記録まである。

羽がとても美しい。欲しいという声も聞く。手に入れるのは困難だ。その昔、明治の狩猟解禁で、美しい羽根が高値で売れたため乱獲が進んだという歴史がある。それに加えて、近代化に伴う農薬使用や湿地の減少で餌が減り、生息地も失われていった。1930年代には佐渡と能登にわずかに残るのみに。1981年には、佐渡の野生個体5羽をすべてが捕獲され人工繁殖へ移行された。2003年にはとうとう日本最後の野生個体「キン」が死亡し、日本産のトキは絶滅したという。その後、中国から贈られたトキをもとに繁殖が成功し、佐渡での野生復帰が進行している。

人間の暮らし方が変われば、鳥の運命も変わる。逆に鳥を守るための取り組みが、地域の自然や農業を豊かにする事だってあるのだ。

コメントを残す