どのような活動に没頭しますか ?
今日は何をしようか——そんな問いを自分に投げかける朝が、最近はとても好きだ。去年一昨年と、とりとめのないことを思いつくまま書き散らしていた。今日はすこし真面目に、ここ一年ほど取り組んでいることを書いてみようと思う。
まず、アクリル画である。昨年からある番組を機に筆を握りはじめ、気がつけば県展にも市展にも出品するまでになった。なかでも一番の力作は、県展出品作だ。選外であったがお気に入りだ。妻へのプレゼントも気合いを入れスケッチブック一冊にして贈った。肩痛みで描けない間の焦りもあったが、早く完治させようという気持ちが功を奏したのか、まだ痛みはあるが描けるまでになった。これもそのお陰でとも思える。描きながらある思いが芽生えた。これから「愛妻画家」を名乗ろう、と。
我ながらいい肩書きだと思う。世間にはアマチュア画家も趣味の画家も掃いて捨てるほどいるが、「愛妻画家」はあまり聞かない。大切な人を大切に思う、それを動力源にキャンバスへ向かう——なんとも健全で、ロマンティックで、誰にも文句の言いようがない余生ではないか。
最近は名画の構図を拝借し、そこに自分なりのアレンジを加えて描いてみている。絵は柴崎春通先生の描き方が好きだ。ベースはそこにある。そして今の師匠はミレーだ。「真似る」と書くと聞こえが悪いかもしれないが、これがなかなか奥深い。偉大な画家たちがなぜその構図を選んだのかを手を動かしながら考えるのは、どんな解説書よりも雄弁な勉強になる。あわせて美術誌の購読も始めた。知れば知るほど、知らないことが増えていく。それがまた心地よい。
絵だけではない。ピアノも続けている。子どものバイエルは、ひとまず棚に上げ、今は弾き語りを目指している。選んだ曲は「神田川」だ。あの切なくも美しいメロディーを、ゆっくりと、それらしく弾けるようにはなってきた。問題は歌である。鍵盤に集中すると声が出なくなり、歌に気を取られると指がもつれる。頭と手と口が訳分からなくなる。
そんな事をしながら、芸術的に平々凡々と暮らす。
大げさに聞こえるかもしれないが、これが今の私の人生方針だ。大きな野心も、華々しい舞台も求めない。ただ、キャンバスに向かう時間と、鍵盤に触れる時間を、日々の中にそっと確保しておく。それだけで、一日がずいぶんと豊かな色をおびてくる。
愛妻画家兼ピアニスト。なんとも贅沢な肩書きを、ひっそりと二つ持っているのだ。


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