見知らぬ人との偶然な出会いの中で、ポジティブな印象として残ったことを教えてください。
どうかだが、営業に初めて移動になって、引き継ぎ挨拶後、訪問した際の事だ。
引き継ぎ挨拶は、名刺交換くらいで、前任者がほとんど喋る。特に商談の無いところは長居もしない。お互い顔も覚えているかどうか怪しいモノだ。特にメインサプライヤーでも無く、とりわけ気になる特徴でも無ければ、そんなもんだ。
僕は研究者から営業への移動で、こればかりは、拒否のできないモノだ。研究職に就きたく選んだ先も、三年の運命であったのだ。
さて、担当になったのも何かの縁か、偶然か、ある中小企業のオーナー社長との初商談の事、もちろん教科書通りにシナリオを詰め込み、意気込んで訪問した。そこはメインサプライヤーでは無かったが、研究所の開発担当責任者がとても懇意の客先であった。それもあって、気合いが入り過ぎていたようだった。自分を売り込む、覚えてもらうと、当人は一生懸命話した。最後まで聴いていてくれた。そして一言。「あなたの頭の良いのは良くわかる。しかし、こんな現場でアカデミックな話をされてもなぁ。」と。確かに、省みると、学校や研究所で話している風だった。社の営業と話す事もあったが、分析依頼書の回答くらいで、結論を説明するくらいのものだった。それが、自社製品、釈迦に説法のような提案をアカデミックにして退けただけだったのだ。今、思うと全く迷惑な話だ。しかし、彼は商談が終わると、駅まで送ろうと、自分のBMWで送ってくれた。「BMのエアコン気に入ってるんだ。風が直接当たらない感じが自然で良い。」と。その些細な言葉だけで、ガチガチになっていた身体が、あったかい気持ちになったのだった。あ、社長の器ってこういうのを言うんだろうなと体感したのだった。これを気に、営業も悪くないと前向きに思えるようになった事は言うまでも無い。


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